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作者 Tommy6 原作 涼宮ハルヒの憂鬱
ジャンル 恋愛,イベント
カップリング キョン-ハルヒ
掲載 2007/08/01(Wed.) 更新 -
暑さ嫌いにとって地球温暖化は割と深刻 -前編-
地球温暖化やそれに付随する全地球的脅威の存在が叫ばれて久しい昨今。

記録的暖冬やそれに伴う桜の早期開花、気象庁の梅雨入り宣言にもかかわらずまったくと言っていいほど雨が降らず、今年は空梅雨かと思っていたら、思い出したかのように帳尻を合わせる形で大量の雨が降るなど、専門家でもなんでもない俺にとってその片鱗の表れかどうかは判らないが、確実に異常だとは思える気候は今年の夏も例外ではなく―――――――――――







「暑い暑い暑い暑い――――――――っ!ちょっと、キョン!どうにかならないの?!この暑さ!!」







半ばヒステリーのような状態に陥ったこいつの様は、今夏がいかに異常であるかを雄弁に物語ってくれる。

七月初旬頃から急速に上昇し始めた気温は、高止まりのまま連日のように30度近くもしくはそれ以上を記録し続けそのまま中旬へと突入。

夏休みを目前に控えたここSOS団部室では、既に夏バテモードに突入しつつある団員が――――約一名例外がいるようだが――――雁首そろえてハルヒのがなり声をBGMに無為な時間を過ごしていた。


「最近、最高気温が35度を超えた日を猛暑日と呼ぶことに決まったようですね。」

なんだ、その聞くだけで体感温度が2度は上昇しそうな安直かつセンスレスなネーミングは。

「確かにそうですが、夏日や真夏日もそうですし、ただ聞く分には解りやすくてよいかと。まあ、今現在も毎日のように30度近くの日が続いていますからね。このようなものが設定されるのも自然な流れかと。」

しかしまあ、今でさえハルヒはあの状況なのに、35度なんて記録した日には地球全土が氷河期に突入しかねないな。


冗談めかして言う俺に、古泉は苦笑でもって返す。

「さすがにそれは杞憂かと。確かに、完全に季節外れの桜開花や目から高エネルギービームの発射など、あったらいいなというレベルの願望を実現させてしまっていた頃であればその可能性は十分にあったでしょうが、現在の涼宮さんは自分のおかれている状況や環境が一貫した合理性を有する場合、当人にとってそれがマイナスであろうとプラスであろうと一応は受け入れるようになりましたし、その能力自体も変質しています。日常生活において、涼宮さんの能力が介在することはこの先ほとんど無いと思っていただいて構わないかと。」

ほほう、それは本当だろうな?事後撤回は一切受け付けないぞ?

「ええ。ですが、これはあくまで日常生活レベルということをお忘れなく。涼宮さんが本当に失いたくないと思うような物や人間、特にあなたに関わるようなことについてはこの限りではありませんよ。」

・・・・・・何が言いたい?

「いえ、特に他意はありません。ただ・・・・・、ここのところの暑さで涼宮さんもかなりのストレス――まあかなりの割合である種のフラストレーションも混ざっているようですが――を抱え込んでいるようですので、出来ればあなたにそれを軽減させる様な策を講じていただきたいのですが。」

お前に言われなくたって、こっちも色々と試してはいるんだ。



常軌を逸した暑さに見舞われているこの時期に自宅のクーラーが故障する、というある意味未曾有の危機に直面しているハルヒは、日に日に体力気力共に低下の一途を辿っているようで、自宅・学校共に灼熱地獄という状況にかなりストレスを感じているようだ。まあ、ここで俺に対してばかり文句を垂れる体力だけはあるようだが。

そんなハルヒの気晴らしになるようなものは無いかと前から少しは考えているのだが、思いつくことといえば冷たい飲み物やアイス類を買ってくることぐらいであり、所詮その程度では焼け石に水。もともと意味の見出せない団活が更に空虚なものになる原因となっている。



そんな俺の言葉に古泉は、そのぐらい想定済みだと言わんばかりに、

「・・・・・・・・そうですね、デートに誘うなどというのはいかがでしょうか?」

と、何時もの仮面スマイルを崩さず、事も無げにそう提案しながら一枚の紙切れを差し出してきた。






どこぞのサイトから引っ張ってきて印刷したと思しきそのA4用紙には、俺たちの住む地域一体のほぼ中心部を貫く比較的大きな川で毎年開かれている花火大会の案内が書かれていた。

花火大会の規模としては全国有数であり、毎年この日になると花火目当ての人間がたくさん押し寄せるというのは時たまニュースでも取り上げられるほどの名物となっている。

無論、俺もその存在は知っていたが、一緒に見に行くような人間がいるわけでもなかったため、一度も赴いたことは無かった。







・・・・・まあ、確かに、上手くお膳立てして事を運べばあいつにとっていい気晴らしになるかもしれないし、正直、二人で行くってのも悪くは無い・・・・・・・・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・・、

問題はこれをあの不機嫌モード真っ盛りのハルヒに切り出すかだ。





現況のあいつに何か話を持ちかけることは、完全非武装で地雷原を歩くようなものであり、ほんの少しでも目測を誤れば見事爆発、理不尽な鉄拳制裁をくらうこととなるだろう。









なるべく事を穏便に進めるための最善策は何か?









そう俺がハルヒへの切り出し方を練っていたところ、





「結局どこも暑いわね。むしろここが一番涼しく感じ来るくらいだわ。」





涼しい場所を探してくると言って部室を留守にしていたハルヒが戻ってきたようである。ま、見つからなくて何よりだ。もしここより涼しい場所なんぞ発見した日にゃその場に居座って動かなくなりかねんからな。



「ん?何見てるのキョン?」



迂闊だった・・・・・としか言いようが無い。考え事に集中しすぎていたのか暑さに当てられていたのか理由は定かでないが、ハルヒがいかなる時でも周囲の状況変化に気がつくと言うことを忘れ、そんな人間の前で件の紙を全く隠さずに広げてしまっていたのだ。

俺の後ろに回りこんだハルヒは、俺が手に持つ物を覗き込む。





「花火大会?そういえばもうすぐだったわね。・・・・・ふーん、SOS団で花火見物ってわけね。あんたにしてはなかなか良いこと思いつくじゃないの!」


つい1時間ほど前までのダウナーモードはどこへやら、目にも留まらぬ速さで俺の手から用紙をかっさらったハルヒは、一人早合点して目を輝かせている。

幸か不幸か、ハルヒの機嫌は大分良くなったみたいで、ここ最近見られなかった満面の笑みを見せている。切り出すなら今のうちだろうな。




「まあ、行こうと思っていることに変わりは無いんだが、それはSOS団皆とじゃなくて、お前と・・・・・なんだが。」

「・・・・・・えっ?キョンと・・・・・二人で?」

鳩が豆鉄砲を食らったよう――――――――とはこういうことを指すのかね。予想だにしなかった提案を受けたハルヒは、目を丸くしてこちらを向いている。

「そうだ。」

「で、でも、他の皆はどうするの?皆を差し置いて二人だけで行くわけには・・・・・」


こうやって慌てふためくこいつの姿を見るのも久しぶりだな。

そして、






「僕はその日アルバイトの予定が入っておりますので。」

「私は家族と一緒に見に行く約束をしていますので。」

「私も大切な用事がある。」






軽く三人にかわされてあっという間に窮地に追い込まれるってのも久々だな。


「だとさ。で、どうする?」

「・・・・・・・行きたいです。

「ん?よく聞こえなかったんだが。」

「もうっ!あんた解ってて言ってるでしょ?!・・・・・・・・あんたと花火見に行きたいのっ!これでいい?!」

「うむ、素直でよろしい。」

顔を真っ赤にして開き直ったハルヒは恨めしそうに俺を見ている。王の道と書いて王道、やっぱ大切だね。




「本当にあなた方は変わりませんね。見ていて微笑ましいですよ。」

「はい。そして、少し涼宮さんがうらやましいです。」

「同意。」




「そんじゃま、決定ということで。」

「フンッ!」























そんでもって花火大会当日―――――――――――――




今日も今日とて空は憎らしいほど青く晴れ渡り、花火の打ち上げには絶好の日である。

ちなみに、本日の花火大会の開始時刻が午後7時で集合は午後6時、いつもSOS団不思議探索パトロールで集合する場所にだ。



常日頃俺達が利用しているこの場所は、同じく花火大会に向かうであろう浴衣や甚平を着込んだ人間たちで普段とは違った活況を呈している。

そして今回、非常に珍しいことに、俺がハルヒより先に集合場所へと到着したのである。

SOS団設立以来幾度となく行われてきたパトロールで俺が誰かより先に到着したのは、例の閉鎖空間事件の後でハルヒと二人だけで回った時のみである。

これはハルヒの奴罰金だな。









そう呑気に構える俺の心は、次に待ち受ける展開に打ち砕かれることとなる―――――――――












さて、以上で初の前後編型SS前編となります。いかがでしょうか?
この作品はもともと普通に一本のSSとして公開する予定でしたが、なにやら長くなりそうな可能性が出てきたことや、少々長めのブランクのせいかいまいち感覚がつかめなかったりで分割する運びとなりました。
後編は、なるべく早めに上げたいとは思いますが、いつになるかはちょっと・・・・。

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