logo_frame_picture
banner_frame_picture
logo_frame_picturelogologo_frame_picture
banner_frame_picturemain_bannerbanner_frame_picture
logo_frame_picture
banner_frame_picture
site_data
menu_picture
menu_picture
作者 Tommy6 原作 涼宮ハルヒの憂鬱
ジャンル 恋愛,イベント
カップリング キョン-ハルヒ
掲載 2007/08/07(Tue.) 更新 -
暑さ嫌いにとって地球温暖化は割と深刻 -中編-
注意 - これは複数ページに分かれている作品のうちの中編にあたります。前編をお読みになられてからご覧ください。

















「キョン?」




















聞こえてきたのは、高校入学以来これでもかというぐらい耳に入れてきた声。

当人が意識しているか否かは別として、数え切れないほどのトラブルの中心となって俺たちを振り回し続けてきたその声の主は、忘れたくても忘れることなど到底出来やしない。

そして今回もまた、こいつは振り返った俺を大いに驚かせてくれることになる―――――――――――――







「あんたが私より早く集合場所に来るなんて珍しいこともあるもんね。明日は雪かしら?」

「・・・・・・。」

「ちょっと、人の話聞いてるの?」

「・・・・・・・・・。」

「おーーい。」

振り向いた格好のまま固まってしまった俺の顔を、ハルヒは不思議そうに覗き込みながら手をひらひらと振っている。




俺が固まる原因、それは当のハルヒそのものにあった―――――――












藍色地に薄紫とピンクの撫子があしらわれたそれを着たハルヒは、
いつもの無茶と無謀を足して二で割って具象化したようなものとはまったく異なる、ぐっと大人びた、それでいて僅かな無邪気さを残した雰囲気を醸し出している。












「ちょっとキョン!なんか反応したらどうなの!?せっかく今日のために浴衣新調してきたんだから!」

いや、さらりと凄いこと言ってのけてる気がするんだが。わざわざ今日のために浴衣作ったのか?

「そうよ。・・・・で、どう?似合ってる?」

さっきまでの威勢は一気になりを潜め、ハルヒは恐る恐るといった感じでたずねてくる。

いや、そんなに心配しなくても十分すぎるくらい似合ってるぞ。

「ほんと?」

これを似合わないと言う奴は確実に目がおかしいと思うが。

「やったっ!」



そう喜ぶハルヒの顔に浮かぶのは、いつもより三割増ぐらいの屈託ない笑顔。

せっかく大人っぽい浴衣着てるんだから、今日ぐらい少しは大人しくしてほしい―――――なんてのは無理な相談だろうな。



「さ、行くわよ!」

そう言いながらハルヒは手を差し出してくる。

それに応えるや否や、これまたいつも通り俺を引きずるようにしてハルヒはズンズン歩き出す。











なんか、逆だよなあ、立ち位置―――――――――――――


今更だけど―――――――――――――























「うわあ・・・・・・。」

「なんだこれ・・・・・・・。」



驚くのも無理ない、と思う。



道路、橋、河川敷、マンションのベランダなど、見渡せる限りの場所に人人人人人人。まさに黒山の人だかりといった感じだ。

「話には聞いてたけれど、これ程とは思わなかったわ。」

俺はテレビのニュースで見ていたからハルヒほど驚きはしないが、それでも実際に目にすると圧巻だ。

「これじゃ、花火の見える位置に移動できないじゃないの。」

確かに、今俺達が立っている場所から橋までは約100メートルといったところで、目の前に立ちはだかるは人の壁。ここから花火の見える川岸に移動するとなると、どれだけ時間がかかるか見当もつきやしない。




右も左もわからない見知らぬ土地を訪れたがの如く、ただアホみたいに立ち尽くす俺たちの背後から、





「今晩は、お二人とも。」







これまた別な意味で忘れたくても到底忘れることなど出来ないであろう人間の声。

揃って振り返った俺達の視線の先には、一枚の絵画の如くまるで変化しない笑みをたたえたSOS団副団長超能力オプション付きが立っていた。







「古泉君じゃない。何でここにいるの?アルバイトって言ってたわよね。」

数日前の会話からすれば至極当然であろう疑問をハルヒが投げかけるが、古泉はうろたえるどころかまるで、今日俺たちにここで会うことが予定調和であったかのように、

「ええ、アルバイトですよ。この花火大会の運営がね。」

と、言ってのけた。



「ふーん。でも、本当に凄いわよね、この人だかり。これじゃ見える場所に移動する前に花火始まっちゃうじゃないの。」

「ここ最近の運営組織にとって一番の課題がそれでして。全国でも有数の花火大会が開かれ、見物客の数も年々増加しているものの、ご存知の通りこの町の規模は首都圏には遠く及ばず、完全に収容能力を超過しています。そうなれば、わざわざ遠出したにもかかわらず全く花火を見れずに終わってしまう人も出るわけで、それに対してどう対処するか頭を抱えていますよ。」

まあ、裏方は色々大変なんだろうが正直言って俺達には余り関係ないことで、それよりも、ここから花火の見える場所にたどり着くかだ。

で、この大人数の中、お前と俺達が会うなんて偶然で片付けるには余りにも都合が良すぎる。どうせまた、この状況を打破してくれるような何かがあるんだろ?古泉。



俺の指摘に対し、その秀麗な顔立ちを苦笑の形に歪めた古泉は、

「ご明察です。数多くの人でごった返すこの花火大会で、唯一腰を据えてゆっくり見学できる場所。今からあなた方をそこへご案内いたしましょう。」

「ほんと?!」

いや待て。確かに諸手をあげて飛びつきたくなるような提案だが、そんな場所あるのか?

「あるんですよ、それが。ですから、騙されたと思って僕について来ていただけないでしょうか?どのみちこのままでは開始に間に合いませんし。」

ふむ、確かに今のままじゃせいぜい建物の隙間から見れる場所を探すぐらいしか出来ないだろうし、こいつが今更俺たちに嘘をつく理由も無い。素直に付いていけばいいか。


「では早速。」

変わらぬ笑みをたたえた古泉は、踵を返してスタスタと歩き始める。






















それを追い始めた俺が、なぜかハルヒの手を握っていたのは――――――――気の迷いということにさせてくれ。



















歩き始めて約10分、一度たりとも後ろを振り向かずに俺たちを先導していった古泉は、関係者以外立ち入り禁止と書かれた規制線付近に立つ警備員となにやら言葉を交わした後、こちらに向かって手招きをしている。



俺達が素直に従って規制線をくぐったことを確認すると、古泉はまた歩を進め、程なくして河川敷へと到着した。



一見すると確かに、そこにいる人影はまばらで、先刻の混雑などどこ吹く風といった状態だ。

「ねえ、古泉君。ここって私達が入っても大丈夫なの?」

「ここは本来、スポンサーについている会社の重役やその家族が花火をゆっくり観覧できるようにと用意された特別スペースです。まさか、出資してもらっている会社の役員をあの混雑に放っておくわけにはいきませんからね。そこで、今回は特別に許可を貰ってあなた方をこちらへ招待しました。ここならば人ごみに埋まることなく、ゆっくりとお二人の時間を満喫できますよ。」

相変わらずというかなんというか、機関の力がありありと背後に窺えるな。

「では、僕はこのあたりで失礼いたします。」

用事は済んだとばかりに、早々に会話を切り上げた古泉は、あっという間にどこかへと立ち去ってしまった。




「どうしたのキョン?神妙な顔つきして。」

いや、一介のバイトに過ぎない古泉がなぜこんな場所を用意できたのか気になってな。

「たしかにそうよね。合宿のたびに用意される別荘や島といい、古泉君の交友関係ってどうなってるのかしら?」

まあ、気にはなるが今回は花火を見に来たんだ、余計な詮索は無しとしておこう。

「それもそうね。今日はあくまで花火を見に来たわけだし、楽しまなきゃ損だわ!」







ああ、全くもってその通り。せっかく一年に何度も無いイベントにハルヒと来られたというのに、わざわざきな臭い機関のことに思考を巡らせる理由など無い。



















久々に見ることの出来たこいつの笑顔。今は純粋にそれを楽しむことにしよう――――――――――――








えー、再度SS構成変更のお知らせです。結局、前中後の3編に分離することになりました。
このあと、そのまま続きである「後編」をアップし、その後に後編のハルヒ視点バージョンである「後編 [Side-Haruhi]」をアップします。
長さ的には前後編型でも問題ない文量になる予定ですが、後編のSide-Haruhiとの関係もあって分割しました。
結果的に内容の薄いものとなってしまいましたがご了承ください。

作者の原動力Web拍手ボタン設置中〜。
ポチッと押してやってください。
ジャンプ先では短いメッセージ送信可。ネタでも感想でも何でもOK。
拍手返信はブログにて行います。

簡易掲示板です。どんな些細なことでも結構ですので、何かメッセージ等ありましたら是非こちらへお願いいたします。
なお、この掲示板は私の作品ページ全てで共用しているため、感想等を送られる方は、作品名の併記もお願いいたします。

main_contents_frame_picture