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作者 Tommy6 原作 涼宮ハルヒの憂鬱
ジャンル 恋愛,日常
カップリング キョン-ハルヒ
掲載 2007/06/08(Fri.) 更新 -
寸止めハーフキリング
天地がひっくり返っても起こり得ないと思っていた、というか予想すらしていなかった非日常的出来事が次々と訪れ、最早俺の頭の中では何が日常で何が非日常なのかその区別もいまいちはっきりしなくなってきた頃―――――――――






「次回のSOS団不思議パトロールは――――――――」






情報の爆発、時空の亀裂、超能力者発生の起因とされ、あらゆる方面から注目される女、涼宮ハルヒによって追加されたのは、






「遊園地に行きます!」






傍から見れば、ごく普通の高校生たちが送る青春模様。だけどやっぱり、ほんの少し非日常が織り込まれている―――――そんな日常風景











毎度ワンパターンな突っ込みであれなんだが、まず目的は?そして、今日は金曜だがまさか明後日行くとか言い出さないだろうな?

「そう自分で自覚してるんなら、もうちょっと切り口を変えてみるとかしなさいよ。それと、目的は不思議探索に決まってるじゃないの。何で今更言う必要があるのよ?」

いや、何故今回に限って遊園地なんだ?別に今まで通りでも不思議は探せるだろう?

「今まで気が付かなかったけれど、あれだけ人が集まる場所なら、どこかの地球外生命体が標本探しに来てたり、未来人や超能力者が一般人として紛れ込んでいたりしてもおかしくないと思わない?」

思わない?とか言われてもねぇ。既に目の前には宇宙人・未来人・超能力者が勢ぞろいしているのに、これ以上新たな勢力が追加されると非常に迷惑なので勘弁してほしいんだが。だいたいだな、いくら人が集まるからといって―――――――








などと、俺が心の中で愚痴をこぼしていると、ハルヒはそれ以上何の反応も示さない俺への関心を失ったようで、

「集合は午前九時いつもの場所!流石に値が張るから、遅れてきた人に全員分出させるつもりは無いけど・・・・・・・・・・キョン!あんたまた性懲りも無く遅れてきたりしたら私刑よ!わかった?!」

と、俺のほうを指差し、有無を言わせない口調で言い放った。

いや、お前俺の質問の半分しか答えてねぇだろうが。

「つべこべ言わない!それとも何?あんた行きたくないって言うの?!」

そんな事一言も言ってないだろうが。

あー、わかったわかった。もう文句言わんから、声と表情に若干の不安の色を滲ませるのは止めてくれ。

「最初から素直にそう言ってればいいのよ。」

んな拗ねた口調で言われると、まるで俺が悪者みたいだろうが。

「実際、あんたが悪いんでしょうが!」

「俺のどこが悪いんだよ?だいだいだな、お前はいっつも・・・・・」

「なによ!そんなのあんたが・・・・・」

「―――――――――!」

「―――――――――!」

「―――――――――!」


そんな感じで俺達がお決まりの言い争いを繰り広げていたところで、長門が「痴話喧嘩」とポツリと言い放ち、そこで我に返って周囲を見渡すと、三者三様の生暖かい視線がこちらを向いていた―――――なんてことは思い出したくもないね。









そんでもって日曜日――――――


前日の降水確率80%という予報は何だったのだろうか?と疑問を抱かざるを得ない、文字通り雲一つない青空が広がっていることにある疑念が頭をよぎらなくもないが、そんなのは何時ものことだと無理やり自分を納得させ家を出る。時は8時ちょうど。集合1時間前だ。

普段、俺はあと30分ぐらい経たないと家を出ないのだが、ハルヒが懲罰を死刑から私刑にという、文字でしかわからない微妙な変更であるにもかかわらず内容がブラックボックス化されたが故に何が襲ってくるかわからないというなんとも危険なものにしてしまったため、それを回避しようと画策したわけだ。いや、30分後に出ても9時には間に合うだろう?とかいう野暮な突っ込みはしないでくれよ。相手が相手だ、そんな正論もあいつの前では詭弁となってしまうのさ。






で――――そんな感じでいつもより張り切って集合場所に向かった結果なんだが。

なんつーか、予想通りっちゃあ予想通りだが、



「あっ、おはようございますキョン君。」

「おやおや、貴方にしては随分とお早いご到着ですね。」

「・・・。」

「きょおおおおおおおおん!!あんた、人の話聞いてたの?!あれほど遅れるなと釘を刺したでしょうが!!!どんだけ人が待ったか解ってるの!!?」

いや、まだ集合30分前だから決して遅れてなどいないんだが。寧ろ、なんでお前ら揃いも揃ってこんなに早く来てるんだよ?それとハルヒ、怒っている割にはなんだか機嫌が良さそうに見えるのは気のせいか?

「私たちより早く来ないと意味ないでしょうが!!ほんっっっっとうに何時までたってもダメね!そんなあんたは約束通り私刑よ、私刑!!わかった?!」

んなこと言ったら集合時間という制度自体が意味を成さないだろうが。しかしまあ、俺が最後なのはいつも通りだったりするからいいとして、その私刑とやらの中身が気になるんだが。

「あんたがこれほどまでに学習能力がないとは思ってもみなかったから考えていないわよ。でも、今日中に実行するつもりだから覚悟しておきなさいよ?」

おい待て、その不敵な笑みは何だ?もしかして、これからのお前の気分次第でいくらでも内容が左右される可能性があるってことか?

「そういうこと。だからせいぜい私の機嫌を損ねないよう努力することね。」

勘弁してくれよ。

「つべこべ言わない!ほら、用が済んだらとっとと行くわよ!」

そう言うや否や、俺が到着してから一分にも満たない会話を強制的に打ち切ったハルヒは、俺の手首を引っ掴んでズンズン歩き始めた。








おいおい、そんなに急がんでも電車は定刻通りにしか動かないぞ?―――――








と突っ込もうとしたんだが、結局俺はそれを飲み込んでしまった。








何故かって?








引きずられるようにして歩きながら見えるこいつの横顔に、まるで明日の遠足を待ちきれない小学生のような、これから行くであろう場所への期待一色に彩られた笑顔が咲いていたからさ。





















所変わって電車内―――――






俺達が向かっている遊園地は、電車で約30分のところにあり、2年前にオープンしたばかりという比較的新しい施設だ。

それまで、ここいら一帯にはそういった大型の総合レジャー施設のようなものが存在していなかったため、週末ともなれば家族連れやらなんやらで非常に賑わい、GWなどの行楽シーズンともなるとたびたびニュースで取り上げられるほどである。


しかし、ハルヒがその存在を知ったのはつい最近のことらしい。まあ、中学時代のこいつの興味のほとんどは不思議存在に向いていたようだから、納得っちゃあ納得だが。

ただ、たしかあいつは中学の時何人もの男と付き合っては速攻破局を繰り返していたはずで、そういった奴らと行ったことは無いんだろうか?と思い聞いてみたんだが、




「あんなの付き合ううちに入るわけないでしょ!誰かと付き合うなんてあんたが最初で最後!わかった!?」




と、顔を真っ赤にしてそっぽを向きながら的外れな返答をされたのを覚えている――――――















そんな感じで俺が思考の海へとダイブしていたところ、不意に横から、


「貴方に話しておきたいことがある。」


と、相変わらず平坦ではあるが、言葉にそこはかとない感情のようなものをしばしば感じるようになってきた声が、俺の耳へと届いてきた。珍しいな、お前から話し掛けてくるの。というか、大丈夫か?もしハルヒに聞かれちゃまずい話なら、場所を変えたほうがいいかと思うんだが。

「問題無い。私たちの声が向こう側に届かないよう私たちを囲うように音声遮蔽を行っている。また、念のためあちらの注意がこちらに向きにくくなるよう簡易措置を施した。」

ならいいんだが。で、どうしたんだ?







「先ほど、涼宮ハルヒによって現在向かっている施設を中心とした半径2キロメートル圏内に時間限定型超常現象発現防止用プロテクトが施された。かなり強力。」







・・・・・・・お願いだから、もう少し俺に解るように言ってくれないか?


「つまり、私達が普段行っている情報操作や時間平面移動、閉鎖空間内限定型特殊能力など、現在の科学技術レベルでは説明不可能な現象・行為の発生を阻害する空間が出来た。」

それがあの遊園地一帯で、しかもその主がハルヒだと?

「そう。そして先ほど言ったように、このプロテクトは非常に強力なため、私もその制限内でしか能力を発揮できない。」

ちょっと待て。じゃあ何か、もしその中で変な連中に襲撃を受けたりしたら結構やばいって事か?

「実際に空間内へ入らないと断定できないが、課される制限はあくまで彼女から見て一般常識を逸脱する行為・現象に対して。だから、情報操作の類は一切行えなくなると推測されるが、身体能力に関しては通常の人間の限界までのレベルまでは高められると思われる。無論、それは敵対勢力も同じなので、条件は悪くて対等と言える。」

そうか。お前が言うんなら大丈夫なんだろうな。


そうやって俺が一人で納得しているのをよそに、長門は未だにこっちを見続けている。どうした?まだ他にあるのか?

「一つだけ解らないことがある。」

ほう?何だ?まあ、お前が理解できないようなことに俺が答えられるとは思えんが。

「彼女がブロックした現象・行為こそ彼女が今回望んでいるものの筈。なのに、何故それを禁忌としたのか。」









・・・・なるほどな。だが、その答えはお前の目の前に隠されているようだぞ?










どこかで入手したと思しき遊園地のパンフレットを広げ、乗り物の順番を考えたり、お化け屋敷の話で朝比奈さんを怯えさせたり、朝比奈さんとお弁当談義に花を咲かせてみたり――――――



喜色満面の笑顔に浮かぶのは、摩訶不思議な現象への期待などではなく、純粋にSOS団員と共に今日を楽しみたいということだけ。

だが、あいつはどこか不器用なところがあるからな。それを素直に言い出すことが出来ずに、日曜日恒例不思議探索パトロールのスペシャルイベントなんて体を装うことでそれを隠そうとしたんだろうな。まあ、バレバレではあるが。



俺が言い終えると、長門にしては非常に珍しい数秒の沈黙の後――――





「そう。」





と言ったのみで、それ以上口を開くことはなかった。


長門も初めて顔を合わせた頃に比べれば随分と変わったもんだ。まだ、自分が抱く感情についてはほとんど理解できていないようだが、それでも俺たちを単なる観察対象とみなしていれば明らかに不要であろう疑問をぶつけてくるようになったし、こいつの無表情にも変化が出だした。ハルヒが高校入学当初に比べて様変わりしたように、こいつだって少しずつではあるが変わり始めている。無論、朝比奈さんもだ。



「貴方は重大な事を見落とされているようですね。」

突然声をかけるな。というか、居たのか、古泉。

「最初から貴方の隣に座っていたのですがね。」

で、何だ?その重大な事とやらは。お前の意見なんぞ参考になることのほうが稀ではあるが、一応聞いといてやる。

「それは、その三人の変化は全て貴方に因るところが大きいということですよ。」

何を言い出すかと思えば・・・・。んなわけねぇだろ、三人それぞれが変わったのは他でもない本人が努力したからだ。俺が関係あるわけないだろうに。

「確かに、自分を変えるはあくまで自分自身です。ただ、あなたという存在がその動機付け・トリガーとなったのは確かです。貴方が居なければ、涼宮さんはいつカウントが0になるとも知れない時限爆弾を抱えたような精神状態であり続けたでしょうし、長門さんに感情が発露する事もなく、朝比奈さんが自分なりの力で前へ進もうとするような事も無かったでしょう。」

一度口を開くと妙に多弁になるこいつは、飽きることなく喋り続ける。

「そして、変化してきているのは女性陣だけではありません。あなたも、そして僕も、高校入学当初のSOS団結成当初に比べれば大きく変わりました。元々、SOS団を観察対象としかみなしていなかった僕は、今や時と場合によては機関を裏切ることを厭わないほど愛着を持っていますし、貴方も、涼宮さんとの関係やSOS団内での立ち位置など、挙げたら枚挙に暇がありません。」

三人の変化云々のくだりには異議を唱えたいが、俺たちに関してはまあ、その通りなんだろうな。実際、こいつに巻き込まれるようにしてSOS団に強制加入させられた時は、まさかここまでこの団体が大切な存在になるとは思いもしなかったよ。

「同感ですね。先程述べたように、あくまで傍観者的スタンスであった僕は、機関の命令であればたとえそれがSOS団にとって不利益になるような内容でも躊躇無く実行したことでしょう。しかし今では、SOS団にとって脅威と成り得る存在ならたとえそれが機関だとしても抗う覚悟ですからね。それは貴方も同じではありませんか?」

まあな。相手が宇宙人だろうが未来人だろうが知ったこっちゃない。たとえそれが、蟻が人間に戦いを挑むような無謀なことであっても躊躇するつもりは毛ほどにも無い。蟻には蟻なりの抵抗の仕方だってあるんだ。

「貴方らしい、と言えば貴方らしいですね。女性の方々が絶大な信頼を置く理由が解る気がしますよ。」






今回は、古泉の話に納得できる部分が多かったせいか、結局目的の駅に到着するまで俺たちは延々喋り続けていた――――――――















目的の地へと到着した俺たちは、ハルヒを筆頭にそれこそもう次々とアトラクションを制覇していった。



ジェットコースターだのフリーフォールだの次々と絶叫系アトラクションに乗せられた朝比奈さんが卒倒しかけたり、お化け屋敷に入ったら実は朝比奈さんはともかくハルヒもこういった類のものが苦手で、両名が俺の腕にしがみついてくるという嬉しいハプニングに出会えたり――――なんかその間後ろから後頭部を凍らされそうなほど冷たい視線を感じたような気がするが――――長門の乗ったゴーカートが今すぐにでもその手の選手権に出られそうなほどの凄まじいタイムを叩き出したり、昼にはハルヒ・長門・朝比奈さんが作ってきた弁当を差し出され、胃が裂けそうになるほど飯を食う羽目になったり―――――――






それはもう、十分すぎるというぐらい遊び尽くし、もうすぐ日も暮れようかという時間になった頃、








「さあ、本日最後のイベントは―――――――――――――――







今日の行事の言いだしっぺであり、今日という日を最も満足して過ごしたであろうハルヒが













「観覧車です!」













と、高らかに宣言した。












観覧車―――――――大小の違いこそあれど、一定規模を誇る遊園地ならばまず設置されているであろう定番の施設。


展開があまりにもベタ過ぎるような気がしないでもないが、乗ること自体に特に異論は無い。だが、あの観覧車の定員たしか4人じゃなかったか?SOS団員は五人居るから、一人余ることになっちまうぞ。

「そうなのよね。だから、いつもの不思議探索の班分けと同じ要領でクジを引いて二人と三人に分けようかと思うのよ。」

そう言うハルヒは、徐にポケットへと手を突っ込み、毎週日曜におなじみの爪楊枝クジを取り出した。

・・・・・・・ちょっと準備が良すぎやしないか?

「四の五の言わずに引きなさい!」


そう語気を強めるハルヒにどことなく違和感を覚えるが、特にその提案に依存の無かった俺は、くじを引こうと手を伸ばしたのだが――――――――――






「あ、あのー。」








SOS団の癒し系存在であり、本日のイベントで最も心労を重ねたであろうお方が声を上げられた。どうなさいました?朝比奈さん。

「えーっと。キョンくんと涼宮さん、二人で乗るといいと思います。」

・・・・・・・・なんですと?

「そうですね。最後ぐらい、お二人の時間を満喫されてはいかがでしょう?」


おいおい、古泉まで何を言っているんだ?

「ちょ、ちょっとみんな、何言ってるのよ?!」

当然ながらハルヒも抗議声を上げるのだが、声と表情に動揺が思い切り表れててまるで説得力無いぞ。

「だ、だって、まさか皆がそんなこと言うとは思わなかったし。で、でも、本当はキョンと・・・・・・






うむ、完全に沈黙を確認。お決まりのパターンだな。


「ふふ、可愛いです、涼宮さん。」

「これで気兼ねすることなど何もありませんね。」

「・・・。」



そう言う三人――正確に言うと、一人はリーダしか残していないが――に、半ば強引な形で背中を押され観覧車へと押し込まれてしまい、俺とハルヒはめでたく観覧車に二人きりと相成ったわけである――――――







「・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」









・・・・・どーすんだよこれ。最近ではハルヒも大分慣れてきたようで、顔の赤みは引き、落ち着きも取り戻したようだが、相変わらず下を向いて押し黙っているし、俺は俺でなんて声をかけたらいいのやら判らんし。











そんな気まずい空気が流れる中、何とかこの状況を打破しようと俺が方策を練っていると、


「ねぇ。」


と、ハルヒのほうからこの沈黙を破ってきた。



「みくるちゃんと有希、古泉くんは最初からこうするつもりだったのかしら?」

さあな。だけど、お前が観覧車とその周りだけ避けるようにしていたのを見れば、自ずと答えは出てくるような気がするが。

俺の返答を聞いたハルヒは、顔にそれこそ驚愕と言うに相応しい表情を浮かべ、

「えっ、ばれてたの?」

バレバレだ、んなもん。あそこまであからさまにされて解らない奴のほうが珍しいって。

「そう・・・・・・。気、使わせちゃったかな?」

さあな。でも、このぐらいしたって罰は当たらんと思うが。あいつらも、こうやって俺たちを茶化して楽しんでる節もあるしな。

「んー、それもそうね。それに、せっかくみんながくれた時間だもの、有効に使わなければ失礼と言っても過言ではないわよね。」

有効つってももう間も無く頂上だ。後15分ぐらいがいいとこだろうに。

そう指摘する俺に、ハルヒは左手人差し指を顎に添えて僅かに考え込むような仕草をした後、

「遊園地、観覧車、夕暮れ、二人きり。このキーワードが揃ってすることと言ったら一つね。」

いったいなんだそれは?



そう問う俺に、ハルヒは、

「んー。」

と、目を瞑り、唇をほんの僅かに突き出すという行動で答えた。

おいおい、まさか。

「これ以上私に何か言わせるつもり?」

表情には少しだけ、声にはあからさまに混ざる呆れの色が、俺の予想が的中していることを裏付けてくれる。

そう、あれだ。愛情表現のひとつとされ、日本では恋人同士で行うものとしての位置付けが強い行為。

互いの性格が災いしてか、付き合い始めてから割と経過しているにも拘らず未だに実現し得ていなかったそれ。





これから行おうとしている行為への緊張を禁じえず手には冷や汗と、情けないことこの上ないが、なんとか無い勇気を振り絞って意を決した俺は、ゆっくりと顔を近付ける―――――――









殆ど頭が真っ白になっている俺に、段々と迫るハルヒの顔が、その距離の近さを物語ってくれる。

そして、美少女と言って差し支えないこいつの顔が間近となり、もうあと1・2センチで触れ合おうかという時――――――――――――――――















ズン――――――と、ほかに表現する言葉も見当たらん。なんせ、室内の空気の質量が倍化した様な錯覚にとらわれたんだからな。

その、只ならぬ気配を察知した俺は、ふと、現在目の前に広がる光景に違和感を覚えた。

ハルヒの顔がドアップで映っているのはいいとして、問題はそれ以外の視野を占めている部分だ。


下で観覧車に乗った時、俺は進行方向を向いて座らされたので、丁度真上に来ている今は進行方向逆側、つまり後続のボックスの方を向く形になっている。

そして、二人と三人に分けたのだから、俺たちを押し込んだあいつらは当然そのボックスに乗るわけで――――

















そう、俺とハルヒは、最も単純で最も危惧すべきことを全くもって失念していた。







古泉の生暖かい視線がこちらを向き、朝比奈さんが顔を真っ赤にして手で覆い――まあ、しっかりと隙間から覗いていらっしゃったが――、長門が殺気すら感じさせる絶対零度の眼差しを送ってくる、ということを――――













「もう!何であんなところに居たのよ!?」

「僕たちは涼宮さんの後に続いて観覧車に乗ったまでです。」

「うーー。」

ま、今回は完全に俺たちの負けだ。諦めるんだな、ハルヒ。

「なんでそんなにケロッとしてるのよ?」

いい加減慣れたっつーの。流石にここまでではなかったが、似たようなこと何度かあっただろう?

「それはそうだけど・・・・・・・・・。まあいいわ。いつかあの続きをさせてやるんだから。


ん、なんか言ったか?




「なんでもないわよ!さあ、帰るわよ!」


言うが早いか、もと来たように俺の腕をひったくったハルヒは、いつもより更に大股で歩き始めた――――――























ま、こいつが呟いた内容が聞こえてた――――――なんてことは内緒にしといてやろう。





























少しずつ縮まってゆく二人の距離―――――――そのワンショット。

なに書いてるんだ俺orz
遊園地ネタなのにその描写が殆んど無いし。
やっぱりどうしても、キョンとハルヒの描写一辺倒になってしまうみたい。

今回の反省:
文章力向上の気配皆無
改行ももうちょっとどうにか

んー、今度はこれでもかっていう位砂糖入れたキョンハル書きたいなぁ。

ちなみに、ハルヒの台詞がゴミみたいになっている部分がありますが、サイズが異様に小さいだけでちゃんとテキストは打ってありますので、お読みになりたい方はメモ帳にでもコピーしてください。
ああ、そこまでして見るほどでもないかw
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