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作者 Tommy6 原作 涼宮ハルヒの憂鬱
ジャンル 日常
カップリング 長門,みくる,鶴屋さん->キョン-ハルヒ
掲載 2007/06/30(Sat.) 更新 -
ハーレムと言えば聞こえはいい
四面楚歌―――――――――――――――――――という言葉は多くの人が知るところだろう。


そう、楚の項羽が周囲を囲む漢軍の中に楚の歌を聞き、楚が既に漢に下ったことを知り嘆いたという史記の故事から、孤立無援状態を表す四字熟語。











で、俺がなぜ今更こんな故事成語を引き合いに出しているのかと言うと――――――――






















たった今、俺がその真っ只中に居るからだ――――――――――――――






























涼宮ハルヒのメイド装束――――――――――――――という、後にも先にもあの日一度きりしかお目にかかれないであろう光景に遭遇し、未だ嘗て無いほどの愉悦を覚えた日の翌日―――――――――













「昨日のことは絶っっっっっっっっっっっっ対、誰にも言っちゃダメだからね?!」


と、どんな獰猛な生物も回れ右をして逃げ出しそうなほど強烈な睨みで釘を刺されたため、口外できないのがいささか残念な気がしないでもないが、言ったら言ったで周囲から集中砲火を浴びるのは火を見るより明らかだし、俺だけの記憶に留めておくのもそれはそれで悪く無い・・・・・ということで納得しておくことにする。




相も変わらず何一つ身にならない授業を何とか乗り切り、今日もあの不確定要素がひしめき合うカオス空間へと歩を進める。

SOS団が月曜から金曜までの活動を平和裏に行ったことなど一度も無く、週に最低一度は何かしらの事件・事故・突発的イベントが訪れるという、退屈を酷く嫌うハルヒにとってやたらと都合の良い、反面俺にとってはただひたすら寿命を縮めるだけでしかないシステムの不条理を嘆くわけでもなく、表向きの文句だけ取り敢えず繕ってしっかり参加してるあたり、己の巻き込まれ体質に心底呆れないでもないが、だからと言って選択が間違っていたとは到底・・・・・・・・・・・・・・





























最近、一人で考え事してる時間えらく増えてないか俺?

しかもその殆どがSOS団がらみのことだし。

ほら、いつの間にかもう部室の前に到着しちまってるし。

いかんなぁ、いくらなんでもこれは毒されすぎだろう。いくら破天荒な面々の集う団体とはいえ、もっと他に一般高校生として傾倒すべきことぐらい―――――――――――――


















と、もはや条件反射の域に達した扉のノックをしたのだが―――――――――






















「んー?そこに居るのは誰かなっ?」






















返ってきた声の主は、SOS団名誉顧問にして朝比奈さんの同級生、名家のお嬢様でありながらそれを鼻にかけるようなことも無く、人当たりもよければ成績・運動能力共に優秀、あのハルヒと対等に渡り歩くことをも容易く成し遂げてしまうお方、鶴屋さん―――――――――――――その人だった


























「ああっ、キョンくんかいっ!大丈夫、入ってきてもいいさー。」


鶴屋さんが何故ここに?という疑問も当然沸くんだが、そんなことは後で聞けば良いわけで、それよりも今は早く朝比奈さんの淹れるお茶にありつきたい――――――――――――――
























そんなささやかな願いは、扉の向こうに広がる光景によって打ち砕かれることとなる――――――――――
























ハルヒ・長門・朝比奈さん・鶴屋さんの四名が、全員メイド装束に身を包む――――――というにわかには信じがたい情景によって――――――――――























嵐の予感

















「さあさあ、キョンくん。そんなところで突っ立ってないで座るといいさー。」

呆然と立ち尽くす俺に、一人ハイテンションな鶴屋さんは着席を促す。

それがきっかけで我を取り戻し、定位置へと落ち着いたのはいいんだが、いかんせん他三人の様子が怖すぎる。

ハルヒは、一見するとマウスに右手を添えディスプレイを注視しているようだが、視線自体はこっちのほうを向いているし、その背後からは鬼神のごときオーラが漂っている。

長門は、いつも通り電話帳並みの厚さを誇る書物を読みふけっているが、タイトルが[完全犯罪方法論]なるえらい物騒なもののうえ、こちらはこちらで別な種の強烈なマイナスオーラを放っている。

そして朝比奈さんだが・・・・・・なんと形容してよいのやら、お茶を淹れているようで表情を確認できないが、その背中からはまったく精気が感じ取れない上に、触れてはならない影のようなものが全面に押し出されている。



唯一人鶴屋さんだけがいつも通り振舞っていらっしゃるが、この状況と格好を鑑みるに、何らかの事情を知っているのは確かだろう。

「いやあ、昨日ハルにゃんがキョンくんにメイド姿を披露したってことを皆に話したら、ハルにゃん一人だけ不公平だ、って話になってね。そこで家から人数分のメイド衣装を持ち込んだってわけさっ!」

・・・・・・なぜ鶴屋さんが昨日のことを知っているんですか?あと、不公平っていうのは一体どういうことでしょう?

「なははっ。情報収集力にはちょっと自信があってねっ。あと、キョンくんはちょっと鈍感すぎるところがあるようだねっ!いつか背中を刺されても知らないにょろよっ?」

いや、さっぱり俺の疑問が解消されてないんですが。それどころか何を物騒なことを仰っているのでしょうか。そして、何故手をワキワキさせながらこちらへ近づいていらっしゃるのでしょうか?

「うーん、このままじゃハルにゃん以外の子がちょっとかわいそうだからね。抵抗しないほうが身のためにょろよ?キョンくん。」

そう言うや否や、どこからかロープを取り出した鶴屋さんは、俺の両手を後ろ手に縛り、更に腰と椅子を縛り付けてしまった。当たり前だが、これで俺は殆ど身動きが取れない。まあ、椅子が固定されているわけじゃないから暴れれば少しは動けるんだろうが、ひっくり返って無様な姿をさらすのが関の山、大人しくしておくのが懸命だ。


だがしかし、俺はほんの数分前まで平和な団活を送る予定でいた筈なのに、なぜ今4人のメイドさんを前にして椅子に縛り付けられているのだろうか?


俺がただただ当惑し、事態の把握及び収拾のために無い脳をフル回転させていたところ、いつの間にやら朝比奈さんが俺の前に来ていらっしゃった。

「キョンくん、どうですか?これ。」

そう言う朝比奈さんが着ているのは、普段身に着けるそれとは違い、黒を基調として落ち着いたデザイン。これはこれで、別な雰囲気を醸し出していて非常に可愛らしい。

「ふふっ、ありがとうございます。」

そうふわりと微笑んだ朝比奈さんは、満足そうに定位置へとお戻りになった。何か、プラスチック製の物にヒビが入るような音や紙が裂けるような音が聞こえたような気がするが、触れてはならないことだと全力で本能が訴えているため、聞こえなかったことにしておく。








「どう?」

何の前触れも無く話しかけてきたのは、気配皆無でいつの間にやら俺の目の前に立っていたSOS団一のスペックを誇る文学少女。

相変わらずコミュニケーションの成立に必要な単語が不足しているが、脈絡から言って問うていることは一つだろうな。

普段、制服姿以外をほとんど見ることが無いから、新鮮さと意外さという点ならこの中では格別だろうね。無論、良い意味で。それに、別にメイド服じゃなくてもお前に似合う服なんぞいくらでもあるだろうから、日曜の不思議探索ぐらい私服で来てもいいと思うんだがな。

「そう。」

会話を句読点込みで六文字にて終了させてしまった長門は、そそくさと活字の海へと舞い戻ってしまっている。心なしか頬が若干上気していた気がしないでもないが、それよりも耳に飛び込むプラスチックの破壊音と陶器の割れる音が非常に気になる。相変わらず脳内警報はけたたましく鳴り響いているため、聞こえなかったことにしているが。







「さてさて、最後は私かなっ!」

そう言いながら俺の目の前に華麗な登場を果たした鶴屋さんは、手を後ろに組みながら前屈みになって座っている俺を上目遣いに覗き込む、という器用な芸当をしていらっしゃる。

しかし、その身のこなしといい風格といい、やっぱりこの人は一味違ってまさに、「様になっている」ってところだろうか。にわか仕込みとは別格、鶴屋の名は伊達じゃないってことを改めて認識する。将来、本当に良いお嫁さんになりそうだ。

「そうかいっ?そいつはうれしいねぇ。」

「っだぁ!」























嬉しそうにはにかむ鶴屋さんの顔と謎の叫び声にのって飛んできた物体の感触を最後に、俺の意識は完全にブラックアウトした――――――























次に俺の視界に飛び込んできたのは、見慣れた天井。どうやら気絶してしまったらしい。

「あ、気が付いた?キョン。」

ああ、なんとかな。他の皆はどうした?

「もう帰ったわよ。最初は皆残るって言ってたんだけど、いつ気が付くかわからないし、全員いるとまた面倒なことになりそうだったからね。」

しかしなぁ、何もキーボード投げること無いだろう?ちょっと危険すぎるだろう。

「んー、コントロールには取り敢えず自信があったし、あんたなら大丈夫ってなんとなく思ったのよね。」

どこぞの漫画に登場する不死身人間じゃねぇんだからちったぁ加減してくれよ。しかし、終始訳が解らんかったな今日は。

「はぁ?あんたまだ解らないっての?鈍感もそこまで行くと頭が下がるわ。」

すげー馬鹿にしてないか?で、結局何なんだ?

「教えないわよ!これはあんたが自力で気が付くべきことなの!」

んな勿体付けねぇで話してくれよ。

「ダメよ!そんなことはいいから帰るわよ!もう時間も遅いんだから。」

そういきり立つハルヒは、自分の鞄を引っ掴んで仁王立ちしながらあっちの方向を向いている。

























「まったく、似合ってるの一言ぐらいくれたっていいのに。」

























ん?何か言ったか?

「なんでもないっ!!」
さて、今回初登場の鶴屋さんでしたが、非常に微妙な仕上がりに。
後で幾つかの修正を加える可能性高いかもです。
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