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作者 Tommy6 原作 涼宮ハルヒの憂鬱
ジャンル 恋愛,未来
カップリング キョン-ハルヒ
掲載 2007/10/04(Thu.) 更新 -
Intersection of Fate
注記:内容の都合上、時期設定が三年の夏休み前頃となっております。朝比奈さんが卒業しているはずですが、そこらへんは気にしない方向でお願いします。







高校入学から二年という歳月が経過し最高学年と相成って幾数ヶ月。


大学進学を志す者であればそろそろ志望校の絞り込みに入っていてもおかしくない時期へと突入し、少しずつではあるがクラスの雰囲気も変化しつつある今日この頃―――――――――――――――












例に漏れず俺もその一人であるはずなのだが、どうにも他人事のようにしか感じられないのはどんなに席替えを繰り返しても俺の後ろに鎮座し続けるお方のせいだ――――――――――――






と無責任な責任転嫁を脳内で繰り広げている今は、4時限目体育の時間。



三年になると、各教科の評価が全体的に甘くなる傾向にある――――――――――というのはどこの学校でも似たようなものだろうが、それはこういった実技教科で特に顕著である。

そもそも担当教員からしてやる気が全く無く、事前に決定されたカリキュラムで最低限要求された内容を早々にこなした後、授業時間の80%以上を占める【休憩】を宣言しどこかへ消えてしまっている。






監督すべき人間を失ったグラウンドでは、クラス内それぞれのグループで集まり思い思いの時間を過ごしている。

と言っても、最初の頃こそ、どこからか引っ張り出してきたボールで遊ぶ男子グループも散見されたが、飽きてしまったのか暑さが嫌になったのか、今となっては全員木陰に集まってそれぞれのグループで喋っているだけなのだが。


俺の場合、こういう時は谷口やら国木田あたりと集まってくだらない話で時間をつぶしたりするのが自然だと思うんだが、何故か現在俺の隣に陣取っているのはハルヒだったりする。










悪い気は・・・・・・・・・・・・まぁしないんだが、なにせ異性、しかも二人で話してるとなれば当然クラスの注目を浴びるわけで。

女子からは、非常に微笑ましいものを見ているような生暖かい視線が送られてきているし、男子からは最近とみに大人しくなったことで人気を博し始めたハルヒを占有していることに対する剥き出しの殺意がこめられたオーラが放たれている。

ハルヒは言うに及ばないとして、一年の頃よりむやみやたらに目立つ機会の多かった俺もさほど気にしていないのは、将来バカップルなる妙に不名誉な烙印を押されてしまう可能性があることを意味しているような気がするのだが、それさえもどうでもよくなっているあたり相当毒されているんだろうと思う。














「ねぇ、キョン。あんた大学って行ってみたことある?」

お前の指す大学がどこかはわからんが、その手の場所や施設へ行ったことはないな。

「実は私もなのよね。一度行ってみたかったんだけど、隣町にある大学のオープンキャンパスの案内ポスターはいつの間にか無くなってたから自分で行くしかないし。だからさ、今度二人で行ってみない?」

隣町の大学にか?

「そうよ。あの大学の規模って全国トップの大きさだって聞いたことあるから、いろいろ見て回るにはうってつけだと思うのよ。」

そういえばそんな話聞いたことあるような気もするな。



まあ、特にやることもないし行くこと自体は別にかまわないんだが、どうして今になってなんだ?

ちょっと前に似たような話になった時はどうでもよさそうだったじゃないか。

「まあ・・・・・・そうだったんだけど、やっぱりあと一年もしたら立つことになるかもしれない場所がどんな所か気になるじゃない?だからよ。」











・・・・・・・・・・・・さっきから少し気になってはいたが、どうにもハルヒにいつもの覇気が感じられない。

空元気――――――――――――とでも言えばいいんだろうか?確かにぱっと見のテンションなんかは普段と変わりないんだが、心に抱えた何かを無理矢理メッキでコーティングして隠しているような・・・・・・・・・。



そもそも、ハルヒが俺をどこかへ連れ出そうというのにわざわざ許可を取ること事態おかしい話である。

有無を言わさず強制的に日程を決めるのはもちろんのこと、うちの母親と親しくなった現在に至っては外出当日の朝にゲリラ的襲来をされて初めて知ることさえある。




何故こいつがこんな風になってしまったのか気になるところではあるが、何の前触れも明確な動機らしいものも無く提案された大学見学ツアーがおそらくは全ての答えなのだろう。

こいつらしいと言えばこいつらいが










































































「一体どれだけ広いのよ・・・・・・・・ここは。」

これが、正常な反応なんだろうね。



俺達が今立つのは、この地を訪れる観光客向けに整備された都市全体を一望できる展望台である。

さすがに地平線の彼方までとはいかないが、ざっと見で奥行15キロ、幅も同じぐらいはあろうかという広大な範囲には、一つの総合大学と十を超す単科大学及びそれに附属する研究施設、学園直系もしくは各単科大学附属の小・中・高等学校、図書館や博物館・美術館などの文化施設、在学者及び教職・研究員向けの住宅、その生活を支える商業施設・・・・・など、二十万とも三十万とも言われる在籍者を擁する世界でも類を見ない規模の総合型広域学園都市の広大な町並みが広がっていた。

設立当初は、大学が一つとその関連施設が建つに過ぎなかったようだが、歴史を重ねるにつれて急速に拡充、今となってはその全容を正確に把握するのは運営・管理に携わる極一部の人間となっているようだ。





「これ、端から全部見て回ったら相当時間かかりそうね。」

相当どころか、数日間泊まる用意をしてこなきゃいかんと思うが。

「そうね、大学だけでもかなりの広さあるみたいだからこんなところで油売ってる暇なんて無いわね!」












何遍と説いて聞かせても、こいつは口と手を同時に出すという事を止める気は無いようである。

もう少し強くすれば骨がポッキリといってしまうんではなかろうかという力で手首を絞めているのはいつものことなのだが、その姿と込める力に焦りにも似た不安感が見て取れるのは気のせいなんだろうかね―――――――――――――――――――
















































































「うーーーーん。さすがにこれだけ回れば十分よね。」

・・・・・・・・・・・・・十分とかいうレベルじゃないぞ、おい。

3キロ×4キロという長方形型の広大な敷地内に存在する大小さまざまな主要施設を片っ端から見て回ったのはいいとして、立ち止まるということを自宅かどこかに置き去りにしてきたんではないだろうかと思うほど、建物内だろうが外だろうがなんだろうがとにかくひたすら歩き通しだった。

唯一ゆっくり腰を据えていた時と言えば、昼にハルヒが作ってきた弁当を食べていた時――――――何を思ったか、突然学内メインストリートすぐ脇の芝生にレジャーシートを広げ、衆人環視の中「あ〜ん」とか言いながら口に飯を運んでたもんだから、精神はこれ以上ないぐらいの疲弊度だったが―――――――ぐらいだろうか。

都合7時間ぐらいは歩きっぱなしだったんだ、明日は筋肉痛確定だな。










全ての見学を終えた俺たちは出発地点である展望台へと戻り、暮れかかる秋の日がオレンジ色に染める町を二人して眺めていた。

ほとんど風も無く、ただ静寂だけが場を支配する中、ハルヒは何か思いつめたような表情で町のほうを見つめ続けている。
























そして―――――――――――

















「みくるちゃん、元気でやってるかしらね。」

静まり返った場の雰囲気を打ち破ってハルヒが放ったのは、数ヶ月前に鶴屋さん共々晴れてこの学校を卒業したSOS団副々団長にしてお茶汲み兼マスコット担当の、最後まで可愛らしかった未来人についての話題。



何せあの朝比奈さんだからなぁ。変な奴に引っかかったりしてないか心配だが、手紙を見る限りは充実してるみたいだからそれを信じるしかないな。

「みくるちゃんが卒業していった時は、私達が卒業するなんてまだまだ先の遠い未来みたいに感じてたけれど、なんか最近『もう半年ちょっとしかない』って急に思うようになってね。」

あれだけ学校で志望校決定だのなんだのと言われてると、さすがのお前でも少しは感化されるみたいだな。

「一応これでも大学進学希望だからね。少しは進路のことだって気にしなきゃならないわよ。他の皆だって、ある程度志望校を固め始めてるんじゃないかしら。」

他の連中はどうするんだろうな。まあ、長門あたりなら東大理三に主席で合格しても不思議じゃないが。









「みんな・・・・・・・・・・・・ばらばらになっちゃうのかな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



古泉くんも・・・・・・・・・・・・・・・有希も・・・・・・・・・・・阪中さんも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんたも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




他の連中がどういう進路希望なのかは知らんが、うちの高校からこの大学行く人間多いらしいし鶴屋さんだって居る。ばらけたとしても長期休みの間に顔を合わせるぐらい出来るだろう。永遠の別れじゃあるまいし、そんな顔しなくてもいいだろうに。



「でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キョンの志望、ここじゃないでしょ?」

いや、いつ俺がそんな事お前に言った?

「だって、前に進路希望調査の用紙配られた時、あんた全然違う大学の名前書いてたじゃないの。」

いつの話だそれ?たしかに、大分前の進路希望調査ではここじゃない大学名書いたが、それはあくまで自分の模試の偏差値から見て順当なところを適当に選んだまでだ。

だが、今は状況が違う。ここだったら、学費も割合低く済むし評判も悪くない。偏差値的に厳しいとはいえ、特段大学に行ってやりたいことが定まっているわけでもない俺がわざわざお前と離れる選択をとる理由なんぞ無いだろうに。




物憂げな表情を、驚愕へとみるみる変化させて目を丸くするハルヒ。




もしかして・・・・・・・・・・・・・ハルヒの奴、こんなことで延々悩んで思いつめてたのか?

いつものハルヒなら「あんたは一生私についてくればいいのよ!」とか何とか言いながら俺の入試願書勝手に作って送ってしまっても不思議じゃないんだが。

「・・・・あのねぇ、いくら私でも人の人生を左右しかねないようなことまで無理矢理決めたりなんかしないわよ。だいたい、本当にそれでいいの?もう少し真剣に・・・・・・・・・」

真剣も何も、涼宮ハルヒという存在が俺の中では大きなウェイトを占めているもんでね。進路決定に際してそれが重要な要素になるのは当然だろう?







って、人の話聞いてるか?ハルヒ?

その、快晴の青空みたいな笑顔は何だ?





「そうと決まれば、さっそく猛勉強を始めなきゃね!あんたこのままじゃ偏差値的に厳しいんだから。でも安心しなさい、なんてったってこの私がついてるんだから、来年にはここに大学生として立っていることを保証してあげるわ!」

実に頼もしいお言葉で結構なのだが、まさか明日から毎日みっちり勉強するとか言い出すんじゃないだろうな?

「何がまさかよ?試験まで後半年、ライバルだって沢山居るんだからうかうかなんてしてられないわよ!」

「明日から毎日放課後、あんたの家でみっちりやるから覚悟しておきなさいよ!」

「いや待て、お前は毎日うちへ来る気か?」

「なによ、なんか文句あるわけ?それとも何?あんたは私と同じ大学へ行きたくないって言うの?」

「誰もそんなこと言ってないだろうが。」

「そうなのね。キョンは私と同じ大学いけなくたっていいと思ってるのね。」

「ちょっと待て、目に涙を浮かべるんじゃない。反則だろ、それ。」

「そうよね。どうせ私なんか・・・・・・・・・。」

「あー、わかったわかった。解ったからそんな顔するのはやめてくれ。こっちがいたたまれなくなる。」

「そうそう、最初から大人しく言うことを聞いていればいいのよ。」

「やっぱり嘘泣きか!お前、俺がそれに弱いこと知っててわざとやってるだろう?」

「さーて何のことかしら?」













































こいつは本当に悩んでたのか?

毎度のことではあるが、こうも変わり身が早いと心配したほうとしては何か納得できないものがあるんだが。


まあ、それが涼宮ハルヒという女である――――――――といわれるとぐうの音も出ないのだがな――――――――――――――








































記念すべき(?)10作目SSです。

ほんの6ヶ月前に大学受験終えた身としては懐かしい話であります。
実際にキョンのような進路選択すればまず間違いなく浅慮そしりを受けるでしょうが、個人的にはありかと思ってます。

と言うか、自分の向いていそうな学部・学科を絞り込む - 模試などの結果から志望校決定 という、偏差値至上主義的で適性や興味関心をあまり考慮に入れない現在の進路決定と大差無いような気がするのですが。
むしろキョンの場合、動機付けは別として当初の志望校よりランク上げてるんだから、結果的には問題ないはず。

私も、「自宅から近くて、学費が安い大学。」というだけで、今の大学選びましたからね。
進路の先生やらが、他の大学のパンフレット持ってきて興味を引こうとしても我関せずの状態。
キョンみたいな立場にいたら、確実に東京だろうと沖縄だろうと付いて行ったことでしょう。

まあ・・・・・・・・・、そんな人いれば・・・・・・・・・・の話ではありますが(苦笑


ちなみに、一応参考としてネギま!の麻帆良学園都市と私が通う大学のキャンパスを使用しました。
規模モデル:麻帆良学園都市
構内モデル:北海道大学札幌キャンパス
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